サマービューティ便り

劇団Nadianneの主宰・役者の北島夏美のブログです。 お芝居のこと、日常のことを書いています。 劇団HPにもぜひ遊びにいらして下さい。

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宝塚花組『ポーの一族』千秋楽ライブビューイングを観てきた!

全国の映画館でライブ上映した『ポーの一族』を観てきました!

どこのファンクラブにも入っていない私がこの大人気公演のチケットを取れるはずもなくね。。。
でも諦めきれないでいたら、ライブビューイングのチケットもどんどんなくなっていき、近い映画館ではなく、小田原、というな鴨宮のダイナシティの映画館まで行って来ました。
神奈川県は上映が5箇所あって....良かった!


だいたいのあらすじは知っていたのですが、すごく良くできてたー!!
序盤は『薔薇の封印』を思い出しました。
これが小池先生のやりたかったことかー!って。(薔薇〜も好きですよ!)

(痛い)感想、ネタバレありです!!


主人公エドガーがバンパネラ(吸血鬼)になってしまい、そこからの生きざま、そして最愛の妹を亡くし、新たなパートナーを得て生きていくというストーリーと彼の悲しみ、葛藤が非常によく表現された二時間半。

まさに、みりおちゃんありきの話だった気がする。
こういう演目、いわゆるトップスターがヒロインと結ばれる話ではない、そしてパートナーは同性、というものをやれる時代というのもそうですけど、
本当にみりおちゃんを待ってたんじゃないかと思う、ポーの一族の上演....
パンフレットで小池先生も書かれていましたが、まさに、エドガーを演じられる明日海りおを待っていたのではないかと。

美しく、怪しく、悲しく純粋で、自分が望んでいないのにバンパネラになってしまい、それなのに妹をバンパネラにしてしまうという矛盾をかかえた人物だけど、どうしてもエドガーに心を寄せてしまいたくなる....素晴らしかったです....。

花売り娘がバラのトゲで指から血が出てしまい、我慢できずに初めて血を吸ってしまう件....すごく....あの、なんていうか、血を見てハッとして見入られるところが、色気があって良かったです。

ライブビューイングって、見所へちゃんと誘ってくれるのいいですね。
初見だと、ストーリーを追うことだったり、べーちゃんをオペラグラスで探すことに精一杯になってしまったりするから(笑)
ちゃんとシーンの初めから花売り娘をアップで映してくれて、音くり寿ちゃんだってわからなくても「このシーンはこの子関連の展開がある」って教えてくれるから。

それから、みりおちゃんが「シーラ」って呼ぶのすごく好き。
義母とは認めてない!って感じで好きでした。

そのシーラの仙名ちゃんは美しくも怖い、って役が本当に似合う。歌声とかめっちゃかわいいのに、人ならざるあの雰囲気....!ドレス姿がどれも素敵でした。
上品だから「ドレス選ぶのをお手伝いして差し上げても良くってよ。」みたいな台詞が自然で似合う。
色々な役の背景はあれど、登場すると既に愛する人と一緒になるために、バンパネラになる事を選んでいる女性なので、
なんだか普通じゃない感が初めから漂っていてすごく良いよね....。

そして、シーラと話す時に、座ってて片ヒザを上げながら無邪気に話すみりおちゃんかわいすぎたよね....結局どのシーンもみりおちゃんのかわいさと美しさばかり見ちゃうよ!

そして....あきらかっこ良すぎない?研いくつ?ってくらいの貫禄なんですが....男爵ハマってた〜最高。(ほんとに89期90期って好きすぎ。)

初めはエドガーが反抗しまくってて怒ってばかりでかわいそうというか、
「みりおちゃん〜少しはあきらの言うこときいて!」って思っちゃったんですが、後半ちょっと団結してくる感じ、やはりこの四人で生きていくんだ、という結び付きが感じられて良かったです。

あきらの身長の高さも、みりおちゃんを少年らしく見せている要因の一つでもあると思うので、本当に全員適役っ!!

リーベル、華ちゃん、かっわいかった〜!!超絶美少女。
あんなにみりおちゃんと絡む役で本当に羨ましい(えっ)。可憐で儚くてぴったりの役。
同じ髪と衣装で、フィナーレで笑顔でも別人に見えたので、芝居中はちゃんとメリーベルとして微笑んでいたのだなって、尊敬....これから彼女楽しみ!

よく出てくる子供、学生役で若手男役さんたちがいたのだけど、みんな良かったなぁ。そしてその下級生たちの中に居ても違和感のないみずみずしさのみりおちゃん....天使....

ちなつちゃん、いい役で....モテモテの医者って似合いすぎてどうしたら....!
目がいいよね、本当に....あと脚長すぎて見ちゃうよね....(笑)
悪い人じゃなかったのにね....勘もいいしね、男爵夫人に近づいたのがいけなかったのですよ....あんな完璧な婚約者がいたのに!

その婚約者べーちゃん。べーちゃんはやはり素晴らしい....女神....純粋で素朴な美人、風共のメラニーっぽい。
リーベルに「(十字架を)取るのよ。取って!!!!」という絶叫がさすがの演技力!!べーちゃん....尊敬....もう女優さんとして尊敬....。

あと、マイティの眼鏡姿本当に感謝しかない(笑)マイティとか和海くんとか、安心できる実力の男役さんが、ほんと頼もしい!

ブラヴァツキーという謎の降霊術士、芽吹ちゃんとは思えないほどの怪演!
あの眉毛は絶対小池先生指示....(ギャツビーのすーさんを思い出した!)
バンパネラに効く銀製の銃弾と銃弾入りの銃を託すというエピソードが、バンパネラの誰かが死ぬぞ、というフラグ....。
(でもこの分かりやすさは大事!)

降霊術の人達しつこいなーと思っていたけど、大老ポーを再度出すためもあったのかな。彼からの言葉「海辺の小屋へ行ってはいけない」はすごい分かりやすい危険の予感....。
シーラは行っちゃうんだよね、海辺の小屋へ。クリフォード先生の元へ....そしてシーラがバンパネラと気づいてしまった先生。展開は一気にクライマックスへ。


そして、アラン....柚香くんですけど....いつも、美しい、かっこいいと思ってたんですけど....今回めちゃめちゃかわいかったー!!

もう一回言う。

アランかわいかったーー!!

あの頼りなさげな目付きが〜すごく良かったです。
みりおちゃんと柚香くんを並ばせた時点でもう成功じゃない?っていう。
二人が手を取るシーンは、あれですね、美しすぎてずっと見ていられるね....

マーゴット城妃ちゃんはあの生意気な娘役をすっごく上手くやってたー!ちゃんと嫌な娘になってたのがすごく良かった!それでもなお、髪型とかめっちゃかわいかった


天真さまもういつも素晴らしい役者....たそセンターの民衆ナンバー、恐怖にかられた人々がどうなるか、がはっきり出てて良かったし、アランの叔父さん役もいやらしくて良かったなぁ。背中からの階段落ちをちゃんとやってくれて素晴らしい!怪我のリスクもあるのに毎公演やっているかと思うと、すごいよね。


原作のセリフを多用しているから、というのもあると思うんですが、台詞や歌が美しくて、詞の物語でもありました。
アランが聖書の一節を歌うところもね、きれい。(というかエドガーとアランが楽しそうに二人で語り合っている時点で最高....)

漫画でも印象的な
「一緒に遠いところへ行く?」
は、遠いところという表現が秀逸だと思うのです。遠い場所、時、終わりのない旅、人間の現実から超越したところ....


そしてエドガーとアランのやりとり。
「メリーベルはどこにいるの?」
「君は生まれる前にどこにいたか知ってる?」
「知らない」
「僕も知らない。だからメリーベルがどこに居るかわからないんだ。」
は、ものすごく印象に残った台詞。
リーベルは死んだ、って決して言わないんだよね....


ラスト、エリザベート風に終わるかと思いきや、エピローグ的な一場があって、そこが明るいのが良かったです。
明らかにそれまでとは時代が違うのがはっきりしていて、そしてエドガーとアランの関係性も強まっていて、
旅がまだまだ続く感じがとっても良かった。

あまりにラストが良かったので、フィナーレなくてもいい、って初めて思いました。
でも男役群舞があまりにもかっこよくて、みんなここぞとばかりにキメッキメで踊っててかっこよすぎて、むせた。咳出ちゃったよ(笑)最高でした。なくてもいいとか言ってすみませんでした!

フィナーレが終わり、とうとうご挨拶。
みりおちゃんの千秋楽のご挨拶が、あんなに笑わせていてすごい(笑)
もう明日からエドガーを演じられなくて寂しいということと、彼を一人にしてしまうようで....とかわいい事をいうみりおちゃん。
「みなさまもどこかでエドガーに会ったら....よろしく伝えて下さい」って(笑)
「覚えてるよ、って言ってくれるかもしれません」(笑)
かわいすぎない?天才。
でも、やりとげられてほっとしてるって言ってたから、プレッシャーすごかったんだろうなぁ....圧倒的に歌って激しい演技で大変だろうし....

退団者のご挨拶では私もうるっと来てしまった。ナガさんのとこでは、組長さんもみりおちゃんも泣いてたね。
送り出しの「宝塚フォーエバー」の曲を全力で歌う一樹さんがツボでした(笑)

2回のカーテンコール後、緞帳が降りていつもの「さよならみなさま」の曲がかかり(終わりの合図)、終わってしまった....と思いきや、止まらない手拍子!
客席のテンションは上がりっぱなしです!
宝塚のお客さん達ってみんなとてもお行儀が良く、わきまえていて、他の公演だったら潔く帰ると思うんです。
でもここまで粘る位の興奮度合いというのがこの作品とお別れしたくないファンたちの気持ちを物語っているなと思いました!
そして挨拶に出てきてくれるみりおちゃん!

これだけ書いても書ききれないくらい見所たくさんでした!
どのシーンもキャストも良かったけど、やはりみりおちゃんが素晴らしかった....
一幕終わり、あんな謎の動き、ポーズで銀橋で一人で立って場面を終わらせられる人なんていないと思う。
みりおちゃんのスター力に圧倒された二時間半でした!