サマービューティ便り

劇団Nadianneの主宰・役者の北島夏美のブログです。 お芝居のこと、日常のことを書いています。 劇団HPにもぜひ遊びにいらして下さい。

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私なりの言葉。

昨日、作家・井上ひさしさんの訃報を知りました。
小説家、平和活動家としても知られた同氏ですが、
私にとっては「劇作家」の井上ひさしさんでした。
一方的なただのファンでしかない私ですが、訃報はとても衝撃だったので、
追悼の意味をこめて、少し書いてみたいと思います。

井上ひさし作品は実際には数作しか拝見してません。
一番初めに観たのは高校生のころ。
『父と暮らせば』を観劇しました。
舞台に吸い込まれて見入ってしまい感動したと同時に
一緒に当時(戦後)にタイムトリップした様な感覚になり、
怖さを感じた覚えがあります。

その次は最近ですが、『天保12年のシェイクスピア』と『薮原検校』。
録画して観たのですが・・・衝撃でした。 どちらも途中で挫折してしまいましたが
いつかきちんと最後まで見よう。

それからチェーホフを描いた『ロマンス』。
これも録画して観たのですが、
こちらはとっても面白くて大好きでした。 沢山笑えて、泣ける・・・役者さんたちもすばらしく、
苦手だったチェーホフへの見方を変えてもらった作品でした。

戯曲だけ読んだのは『太鼓たたいて笛吹いて』『円生と志ん生』『箱根強羅ホテル』だけかな・・・。
どれも本屋さんで見かけて購入したもの。
井上作品はどれを読んでも面白いと安心していたので、
ためらわずに買っていました。
特に太鼓叩いては大好きです。

もっともっと、沢山の作品を見たかった。 でもきっとこれまでの名作は、
これからも上演され続けるでしょう。

笑って泣いて
つらい思いをしてがんばって挫折して
現実は残酷で、希望があると信じて
馬鹿をしているけれど一生懸命生きたくて、そんな”人間”が沢山詰まった井上作品が好きです。

きっとこれからも、
観劇して、
戯曲を読んで
「ああ、演劇はなんて面白いんだろう!」 という気持ちにいつでもさせてもらえるのと思います。

本当にただの一方的なファンですが・・・。すばらしい作品と影響を残して下さり、
ありがとうございました。
こんな未熟な私ですが、演劇を続けます。
ご冥福をお祈りします。
北島夏美